梅雨が来れば思い出す

f:id:noriko9244:20150618205106j:image
実家の庭には毎年青紫の紫陽花が咲く。
私は花の中で一番紫陽花が好きだ。
それにはきっといろんな理由があるんだろうけど、この時期になると決まって頭に流れてくる曲がある。


二十歳そこそこの頃、もうすでに解散(休止?)していたけれど、サニーデイサービスに出会いアルバム「東京」は若い恋愛をしていた私のテーマソングが詰まっていて、当時何度も聴いた。
その中の「あじさい」という曲は、十年以上経った今でも梅雨のしっとりとした空気が漂ってくると自然に頭に流れ込んでくる。


東京の人と遠距離恋愛をしていたことや当時その人が私のことを「花に喩えるなら紫陽花。」と言っていたことなんかの、今思い出すとちょっと甘酸っぱい思い出が、軽やかで湿ったエレアコのイントロに乗って蘇ってくる。


アルバム「東京」には、「あじさい」以外にも「真っ赤な太陽」や「コーヒーと恋愛」など大好きな曲がたくさんある。
実家には、子供の頃から自分の部屋なるものが無かった私は、箱型のピアノや古い洋服ダンスが置かれ6畳が4畳ほどになった和室を自室として使っていた。そこで寝そべりながらMD付きCDラジカセで、幾度となく聴いたCDだ。



サニーデイサービスの作詞と作曲を手がける曽我部さんの歌詞の日本語は、美しくて粋で、お茶目で、聴いていると歌詞の中の街の通りや路地裏を実際に歩いている様な気分になる。
当時もCDを聴いては、「あじさい通り」や「真っ赤な太陽通り」を二人で手をつないで歩くのを妄想しながら、会えない時間を埋めたものだ。


そんな若い恋愛が終わった頃から徐々にアルバムを通して聴くことは減っていったけど、十何度目かの今年の梅雨にまた「あじさい」が聴きたくなった。
思い出はいつも音楽と共にやって来る。



今日はたまたま実家に来たので、どこかに埋もれてやしないかと二階や和室を探してみるが見つからない。やはり母に捨てられてしまったか…


仕方がないので好きなサビを2行だけ。


さいだあのストロオに細い指を絡ませて
遥か遠い蜃気楼できみが笑いました……